西城秀樹と聞けば、あの張り裂けるような歌声を思い出す人も多いだろう。「ヤングマン」「ブルースカイブルー」など、昭和歌謡を象徴する名曲を数々残した彼の声は、単なる歌唱力では片づけられない“生き様”そのものであった。占星術的に見ても、彼のホロスコープには火のグランドトラインが存在し、まさに「燃え盛る炎」として生涯を駆け抜けたことがわかる。
火のグランドトラインとは、牡羊座・獅子座・射手座といった火のサインを結ぶ三角形の配置である。このアスペクトは強力な情熱、自己表現、そして魂の輝きを与える。西城さんは、太陽、月、冥王星、そして海王星を絡めたカイトの形も形成しており、単なる情熱に留まらず、宿命的な使命感を背負っていたことを示している。カイトは大空を翔ける凧のように、人生を高く舞い上げる一方で、強い緊張や課題も伴う配置だ。そこに冥王星が関与することは、彼の人生が「生と死」「光と闇」を往復するドラマであったことを物語っている。
さらに注目すべきは、月と木星のレセプションである。月が木星のサインにあり、木星が月のサインにあるという相互作用は、人間的な魅力、人気、温かさを周囲に広げる力を象徴する。西城さんの人柄について「誰からも愛された」「優しくチャーミングだった」と語られることが多いのも、この配置に裏打ちされている。月は射手座にあり、しかもOOB(アウト・オブ・バウンズ)だったため、自由で型破り、心を惹きつける独特のカリスマ性が滲み出ていたのである。
占星術では、金星が高揚していることも彼の魅力を語るうえで欠かせない。高揚した金星は、芸術性や美意識を強く輝かせるが、土星とのアスペクトが加わることで、愛情や人間関係に葛藤を抱えることも示している。実際、西城さんは華やかな舞台裏で幾度も試練や病と向き合った。それでも歌い続け、ファンの前に立ち続けた姿は、この葛藤を芸術へと昇華させた証だ。
近年、息子である木本慎之介さんがテレビ番組で父の代表曲を歌い、その歌声が話題になった。西城さんの面影を感じさせるその声に、多くの人が涙した。これは単なる親子の歌声の似通いではない。占星術的に見れば「遺伝」というテーマが深く関わっている。遺伝を象徴するのは6ハウスや8ハウスだが、出生時間が不明である以上、完全に特定はできない。それでも、親から子へ引き継がれる星の配置やアスペクトは確かに存在する。
例えば、西城さんが持っていた金星と土星のアスペクト。慎之介さんのチャートにも、金星と土星の関係性が現れている。西城さんの金星は高揚、慎之介さんの金星は下降と、立場は異なるが「金星と土星の対話」が世代を超えて継承されているのは象徴的だ。愛と試練を抱えながらも、それを歌や表現に昇華させる宿命を受け継いだと言えるだろう。
また、西城さんの月と天王星の150度のアスペクトは、突発的な変化や人生の揺れを示す。これもまた慎之介さんに通じる部分であり、父の魂がそのまま息子の中で脈打っていることを思わせる。芸能の世界で「親の七光り」という言葉があるが、慎之介さんの場合、それは単なる光ではない。火のグランドトラインを背負った父の遺伝子が、時を超えて再び歌声として立ち上がっているのだ。
そしてタイミングの妙も興味深い。西城さんのセカンダリー太陽(進行太陽)が蟹座にイングレスする時期と、慎之介さんが「現役歌王」として注目を浴びるタイミングが重なっているのである。セカンダリープログレッションは「1日=1年」の象徴法で、その人の人生の移り変わりを示す重要な技法だ。蟹座は「家族」や「血のつながり」を象徴するサイン。まさに父から子への継承がテーマとして浮かび上がっているのは、偶然とは言い難い。
ブルースカイブルー。この名曲は、彼の代表作であり、青春の象徴である。青空のように澄み渡るメロディは、時代を超えて人々の心を癒し続ける。西城秀樹の歌声は、単なる「昭和のスター」という枠を超え、占星術的にも「火の魂」を持った存在として語り継がれるべきだ。そしてその魂は、今も息子の歌声を通して生き続けている。
結局のところ、占星術の品位やアスペクトだけで人間を測るのは不十分だ。生まれ持った配置に加え、それをどう生き、どう表現するかが人の価値を決める。西城さんは自らの宿命を真正面から受け止め、葛藤すらも歌声へと変えた。だからこそ、時代を超えて彼の歌は色褪せない。
今、「現役歌王」としての慎之介さんがその声を響かせるたび、聴く者は父の魂を感じ、涙する。火のグランドトラインが示す炎は、決して消えることなく、世代を超えて燃え続けているのである。