魚座について

魚座は獣帯で12番目に位置するサインであり、最後を締めくくる存在である。そのため、このサインは「受容」を象徴する。これまでの11サインをすべて経験した末に到達する場所であり、全てをまとめ上げ、受け入れる器を持つ。区分は柔軟宮、元素は水、要素は女宮。守護星は古典では木星、現代では海王星が併記されるが、高揚は金星。支配する身体部位は足である。ラッキーカラーは純白・薄紫・銀色・藍色。ラッキーアイテムはワイン、飲料水、魚、鏡、香水、音楽関連のものなど。

魚座の世界観は、あらゆる水が流れ込む「海」のようだ。空からの雨も、大地を流れる川の水も、最終的にはすべて海へ注ぎ込む。海はどんな水であっても無条件に受け入れ、その広大な器に抱き込んでしまう。だから魚座の人は、人の気持ちや環境をまるごと抱え込み、共感し、時に自分を見失うこともある。それでも、受け入れる姿勢こそが魚座の強みであり、人々から愛される理由である。

魚座の基本的性質

魚座はロマンチストで、夢見がちなところがある。だがそれは弱さではなく、想像力の豊かさの現れだ。芸術的なセンスに恵まれ、詩や音楽、絵画などで自分の感覚を表現する力がある。同情心が強く、弱い立場の人を放っておけない優しい心を持つ。人の悲しみを自分のことのように感じてしまい、その結果、問題を抱え込んでしまうこともある。

人とのつながりを大切にし、争いごとを嫌う。派閥や上下関係に囚われず、誰とでも輪を作ろうとする。だが、その優しさゆえに「相手も同じ気持ちだろう」と思い込んでしまうこともある。期待が裏切られると深く傷つき、現実とのギャップに打ちのめされる。

魚座は言葉の行き違いにも悩まされやすい。思っていることが正しく伝わらず、誤解を招くことがある。しかし、それでも正直な気持ちをそのまま発することが、魚座の誠実さを支えている。

魚座の神話的背景

魚座のモチーフは、ギリシャ神話の美の女神アフロディーテとその子エロスの物語にある。突如現れた怪物デュポーンから逃れるため、二人は魚に姿を変えて川に飛び込んだ。はぐれないように足をリボンで結んで泳いだ姿が夜空に刻まれ、魚座となった。この逸話は、親子の無償の愛や信頼を表すと同時に、魚座の「見返りを求めない愛」に通じる。さらに二匹の魚は一方が現実、もう一方が霊界を象徴していると言われ、魚座がスピリチュアルな感性を持つ所以となっている。

太陽が魚座の場合

太陽は自我であり、生き方そのものを示す。太陽魚座の人は「相手を選ばない」という生き方を選ぶ。誰とでも関わり、相手の色に染まっていく。穏和で同情的な態度を目指すのが魚座太陽の生き方だ。

ただし、太陽は目指していくものでもある。だから太陽魚座は「魚座らしい」とは限らない。むしろ「そうありたいと努力する対象」である。魚座太陽の人は、自分の癒し能力や共感力を生きる中で磨き、やがては他者を包み込むような存在へ成長していく。だが、それは簡単なことではなく、現実とのギャップに悩むことも多い。太陽魚座の人が「魚座らしくない」と言われるのは、その過程を生きているからだ。

月が魚座の場合

月は感情や安心感を示す。月魚座の人は、同調することで安心を得る。相手の心に寄り添いすぎて呑まれてしまうこともある。感情の揺れ幅が大きく、振り子のように揺れ動く。

また、月魚座は意外に虚弱な面を持つ。それは心が優しすぎるためだ。人の痛みを受けすぎてしまい、自分のエネルギーを消耗する。だがその分、夢や想像の世界に逃避し、創造力を発揮できる。音楽や芸術を愛し、リラックスしたときには柔らかく人を癒す。

アセンダントが魚座の場合

アセンダント魚座は、ぽやっとした印象が魅力となる。女性的で柔らかく、純白やピンクを思わせる雰囲気を纏う人が多い。表情や仕草に夢見がちな雰囲気が漂い、人を癒す存在感がある。

また、ぬいぐるみを好んだり、争いを避けたりする傾向もある。だがそれは無責任さではなく、心の平和を守ろうとする自然な反応だ。もちろん、公の場では太陽のサインが前に出てくるが、アセンダント魚座は日常の雰囲気そのものを柔らかく彩る。

魚座に個人惑星がない人の経験

私自身は魚座に個人惑星を持っていない。だが、父方の祖母、母方の祖父、弟、息子と、身近には魚座の太陽を持つ人が多い。そして私の先行日蝕も魚座にある。だからか、魚座が象徴するテーマには常に「濡れている」ように感じる。個人惑星がなくても、運命的に魚座の影響を受けることはあるのだ。

まとめ

魚座は12サインを総括する存在として、すべてを受け入れる力を持つ。太陽魚座は癒しを生涯のテーマとして生き、月魚座は感情の共鳴によって安心を得、アセンダント魚座は柔らかな第一印象で周囲を癒す。

魚座は夢見がちでロマンチストであり、同情心にあふれ、人と人をつなぐ役割を果たす。その優しさは誤解や失望を招くこともあるが、それでも魚座は純粋で誠実であり、すべてを海のように抱き込む。

太陽魚座は魚座らしくない、と感じる人も多いだろう。だが、それは太陽が「目指す生き方」であるからだ。気づき、努力し、癒しを与える存在になろうとする過程こそが、魚座太陽の真の姿である。

魚座は、優しさと想像力を通して世界を癒す最後のサイン。全てを受け入れ、境界を超え、現実と霊界を結ぶ橋渡しとなる存在なのだ。

 

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