黄道十二宮の6番目にあたる乙女座。地のサインであり、区分は柔軟宮。支配星は水星です。双子座の水星が「情報の収集と流通」を司るのに対し、乙女座の水星は「情報を精査し、整理し、役立てる」ことに重きを置きます。そのため乙女座は「分析家」「調整役」「批評家」としての性質を持つのです。
乙女座のキーワードは「義務」と「責任」。牡羊座が突き進み、獅子座が自己表現を輝かせるなら、乙女座は自分の役割を見つめ、「どう役に立てるか」「どのように義務を果たすか」を問い続けます。
では、この乙女座が太陽・月・アセンダントにあるとき、それぞれどんな違いが生まれるのでしょうか。
太陽乙女座
太陽は「人生の核」「自我の方向性」を示します。太陽乙女座は「義務を果たす」という価値観を自分の中心に置きます。
彼らは「責任を果たすことが自分の存在意義」であり、それを糧にして生きています。例えば「働く」ということを考えたとき、義務を果たしてこそ報酬を得る権利があると考えます。そのため、職場でも家庭でも「自分の役割を果たすこと」に誇りを持ちます。
太陽乙女座は強烈な批評家でもあります。自分に対しても他人に対しても分析をし、改善点を見出します。「良い父親とは」「良い母親とは」という理想像を自分の中で設定し、それに責任を持とうとするのです。
女性においては「母親としての責任感」が強く表れます。自分の立ち位置を理解し、その役割を果たすことを愛情表現と結びつけます。意外にも愛情深く、責任感に基づいた母性を発揮します。
ただし、太陽乙女座の欠点は「謙虚すぎる」こと。充分にできる人なのに「まだ足りない」と思い込んでしまいがちです。そのために自信を持ちきれず、他者から見れば「賢夫人」に見えても本人は「まだ未熟」と思い込んでいることが多いのです。
月乙女座
月は「感情」「習慣」「無意識の欲求」を示します。月乙女座はその感情がとても繊細で、神経質に見えることも少なくありません。
常に自分を省みて反省し、謙虚に振る舞おうとします。けれども、本人は気づいていないかもしれませんが、実は「毒舌」である場合も多いのです。自分に厳しいのと同じ目で他人もジャッジするため、つい批評的になってしまうのです。
月乙女座はナイーブな一方で、常識的に振る舞おうとする強さを持っています。社会での役割をきちんと果たし、プライベートでも秩序を大切にします。ただ、その両立が難しく、時に「息苦しさ」を感じることもあるでしょう。
生活面では、月乙女座は「整える」ことに安心を覚えます。部屋を整えたり、スケジュールを管理したり、細やかな習慣に安定を求めるのです。けれども、必ずしも「掃除好き」とは限りません。むしろ完璧にできないことでストレスを抱え、部屋が混乱する場合もあります。
また、月乙女座は体調に敏感です。特に腸や胃など消化器系にストレスを抱えやすく、「お腹が痛い」と言う人が多いのも特徴です。これは繊細な神経が体に直結しているからでしょう。
アセンダント乙女座
アセンダントは「第一印象」「外側の振る舞い」を示します。アセンダント乙女座は、初対面で「清楚」「控えめ」「礼儀正しい」と思われやすい傾向があります。
外見や服装に細やかな気配りを見せ、フリルや柔らかなファッションを好む人も多いです。一見ふんわりとした印象ですが、実は「自分の見せ方を計算している」したたかさがあります。
アセンダント乙女座の人は、自分の立ち位置を敏感に把握し、場の雰囲気に合わせた振る舞いをします。礼儀を大切にし、周囲に安心感を与える存在ですが、同時に神経質な面も表れます。
健康面では乙女座の影響を強く受けるため、ストレスが腸や胃に出やすい傾向があります。几帳面で責任感が強いため、無理をすると体調に響くことが多いのです。だからこそ、十分な睡眠と休息が不可欠です。
乙女座と日常性
乙女座と聞くと「掃除好き」と思われがちですが、実際にはそうとは限りません。私自身の経験でも「片づけが苦手な月乙女座」は少なくありません。綺麗好きであっても完璧にできないとストレスを感じるため、かえって混乱してしまうのです。
地のサインである乙女座は「物を捨てにくい」という性質もあります。過去の資料や思い出の品を抱え込み、なかなか手放せないことも多いでしょう。
一方で、乙女座の人は文房具好き、筆記用具好きが多いという共通点があります。水星の影響を強く受けるため、記録をとる、メモをする、字を書くといった行為にこだわりが出やすいのです。太陽乙女座には字が美しい人が多いのも、この性質の現れでしょう。
まとめ
乙女座は「義務を果たす」「役割を全うする」という価値観を核に持つサインです。
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太陽乙女座 … 義務や責任を自我の核に据え、強烈な批評力を持つ
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月乙女座 … 感情面で神経質になりやすいが、常識的に振る舞おうとする
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アセンダント乙女座 … 清楚で礼儀正しい印象を与えるが、神経質さもにじむ
乙女座は地のサインでありながら柔軟宮。そのため「変わらない安定」ではなく「状況に合わせて整える」ことを得意とします。批評力や分析力はときに辛辣ですが、それは「よりよくしたい」という願いの裏返し。謙虚さと神経質さを併せ持ちながら、日常を調整していくのが乙女座の生き方なのです。