「最後から二番目の恋」──なんとも絶妙なタイトルだ。
このドラマを一言で表すならば、「大人の恋に、言い訳は不要」だろうか。
中井喜一演じる真平と、小泉今日子演じる千明。
共に50代目前、それぞれに事情を抱えながら、日々を丁寧に生きている。そんな二人が出会い、ぶつかり合い、少しずつ歩み寄っていく姿に、わたしたちは心を打たれる。
この作品の舞台は、鎌倉。
歴史ある町並みと、ゆっくりとした時間の流れが、二人のやり取りに温もりを添える。仕事ではバリバリ働き、東京では肩肘張って生きていた千明が、この町で自分を取り戻していく様子は、現代を生きる女性たちへのエールにもなっている。
面白いのは、二人の会話。
千明は毒舌で感情的。真平は理屈っぽくてちょっと面倒くさい。だけど、お互いの不器用さがどこか似ていて、見ているこちらは「もう、素直になっちゃいなよ!」と叫びたくなる。
「若さ」や「トキメキ」ではない。
むしろ、何度も傷つき、失敗し、孤独を知ったからこそ、辿り着いた本物の関係性。
それが、このドラマの核にある。
人は若い時ほど「完璧な恋」を夢見る。
でも、年齢を重ねるごとに、「ちょっと面倒だけど、なんか放っておけない」
「全部は合わないけど、なぜか安心できる」
そんな不完全さにこそ、居心地の良さを見出していくのだと思う。
小泉今日子のリアルさは、女性視点からしても惚れ惚れする。
無理して若作りもしない、だけど女としての意地も忘れない。
キャリアウーマンとしての誇りと、年齢を重ねた痛みと、そして何より“恋を諦めていない”まっすぐさ。
対する中井喜一は、あくまで普”の男を演じ切っている。
特別イケメンなわけでもない、バツイチで娘がいて、少し頑固。でも、それがいい。
派手な事件は起きない。
でも、毎日の何気ない瞬間が、じんわりと心に沁みる。
恋とは、こんなふうに始まるのかもしれない。
ふとした一言で、目線で、沈黙で、また歩み寄る。
「最後から二番目の恋」は、決して次善の恋ではない。
それは、今までのすべてがあったからこそ辿り着けた恋。
そしてそれは、もしかしたら「最初よりも、ずっと大切な恋」なのかもしれない。
人生の中盤を迎えてなお、恋はできる。
むしろ、そのほうが深く、温かく、優しい。
このドラマを観たあとに、誰かに会いたくなったなら──
あなたはきっと、今、恋をしているのかもしれない。
──そして、ふと気づく。
わたしはこれでも恋愛体質であったのを思い出した。
相手を呑みこむ程の強い烈情。
相手はわたしの大きな渦に巻き込まれ、時に濁流に流され、突然広い海にたった1人で放り出されたり。
それもこれも若さ故。
今は、静かな波の音を聞きながら、相手を感じる【最後から二番目の恋】を──
ちょっと体験してみたいとも思った。
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