水星のオリエンタルとオクシデンタル──言葉の本質と表現の分かれ道

私たちはふだん、「水星は言葉や知性、情報を司る天体です」と教えられる。
けれど本当は、水星は単に頭の良さや話し方だけで語れるほど単純ではない。

もっと深く、もっと本質的に。
水星とは「どう言葉を扱うか」というスタイルそのもの。
そしてそのスタイルは、水星が太陽の東にあるか西にあるか、という天体配置によって、まるで別人のように変わる。

本記事では、占星術における「オリエンタル/オクシデンタル」の概念を通して、水星の持つ知性の流派を解き明かしていく。


第1章 オリエンタルとオクシデンタルの基本

まず、この分類は太陽との見かけの位置関係によって成り立つ。

  • オリエンタル(oriental)=太陽より東側(前)にある水星
     → 夜明け前に昇る、太陽の前を走る配置

  • オクシデンタル(occidental)=太陽より西側(後)にある水星
     → 日没後に昇る、太陽のあとを追う配置

この違いは、ただの視覚的なものではない。
それぞれが人の知性や発話、情報処理のスタイルに深く関わってくる。


第2章 オリエンタル水星──直感で語り、先手を打つ知性

オリエンタルの水星を持つ人は、先に動く。
考えるよりも先に言葉が出る。
状況を読むよりも、自分の感覚で未来を切り開こうとする。

このタイプは、天性の伝達者。
口が早く、頭の回転が速く、話すことが楽しい。
たとえば営業職や、現場で即興対応が求められる職業においては天性の強みを発揮する。

しかしその一方で、「話してから考える」癖が強く、誤解やすれ違いが起きやすい

このタイプの水星は、情報処理というより「発信と切り込み」の役割。
常に先手で物事を仕掛けようとするため、会話でも戦略でも、攻めがちである。


第3章 オクシデンタル水星──聞いて考え、精査して語る知性

一方で、オクシデンタルの水星はまるで逆の働きをする。
反応型、熟慮型、観察型。

このタイプは、話すよりもまず聞く
直感ではなく論理。発信ではなく構築。
発言までに時間がかかるが、言葉の精度と重みが圧倒的に高い

心理カウンセラーやプランナー、交渉人のような立場で力を発揮する。
慎重で分析的であるため、思い込みによる暴走は少なく、長期的な信頼を得やすい。

ただし、内面にこもりやすく、発信するタイミングを逸しやすい。
また、言い訳が多くなりがちという欠点もある。


第4章 水星サインと方位の組み合わせは「性格の方程式」

水星がどのサイン(星座)にあるかによって「思考の質」は決まる。
しかし、水星がオリエンタルかオクシデンタルかによって、「使い方の癖」が決まる。

たとえば、

  • 水星が乙女座(分析力)でオリエンタル
     → 細部まで見渡し、即答する。改善提案が早い。

  • 水星が乙女座(分析力)でオクシデンタル
     → 全体を精査してから最善策を構築する。提案は緻密だが遅い。

同じサインであっても、方位が違えば言葉の出方、考え方、対話のクセすら違う

占星術とは、こうした二重構造を丁寧に読むことで、表に現れない「使い方の癖」まで明らかにできるのだ。


第5章 タラッサ魔麻の視点──会話の「リズム」は水星の方位で決まる

わたしが日々の鑑定で一番体感しているのは、「会話のリズムが違う」という事実。
これは、ただ早口かどうかという話ではない。
会話の主導権をどう握るか、どのタイミングで入ってくるかという「間」の取り方が、水星の方位でまったく違う。

  • オリエンタルの人は、質問の途中で割って入る。とにかく自分の中にある答えを言いたい。

  • オクシデンタルの人は、すべてを聞き終えたあとに、静かに要点だけを突いてくる。

どちらが優れているかではない。
これは単に、「戦術の違い」である。
瞬発型の会話か、構築型の会話か。

あなたは、どちらのリズムを持っているだろうか?


第6章 まとめ──水星は位置で人格の使用法が変わる

水星という天体は、占星術において知性の象徴とされる。
だが、本当の意味で水星を使いこなしている人は少ない。

なぜなら多くの人が、水星の「サイン」や「ハウス」ばかりに注目し、「太陽との位置関係=方位」に目を向けていないからだ。

水星がどちら側にいるかで、あなたの会話、判断、戦略、そして文章の組み立て方までもが変わってくる。

この配置を知ることは、自分の表現の使い方を客観的に知ることであり、
同時に、自分に合った伝え方・仕事のスタイル・人間関係の築き方を選べるようになることでもある。


締めの言葉

わたしはこう思う。
水星は才能ではない。
選び方”であり、使い方”であり、何よりも「誰と、どう繋がるか」という戦略なのだと。

あなたの水星が、太陽の前を歩いているのか、それとも後ろを歩いているのか。
それを知ることは、自分という存在の「言葉の生まれ方」を知ること。

知性に正解はない。
だが、知性には使い方がある。

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