ガーシーと天秤座の誤解 ― 月牡牛座が映し出す欲望と灰汁の強さ

ガーシーさん――暴露系YouTuberから国会議員へ。
この肩書きだけで十分にインパクトは強烈だが、彼を占星術の目で見ていくとさらに奥行きが見えてくる。わたし自身、彼と同じ世代であり、バブル崩壊直後の就職戦線を経験した者として、どうしても共鳴してしまう部分があるのだ。あの頃の世代は本当に「層が厚い」。ギラギラした欲望と野心を抱えた人間が多く、そして今なお灰汁の強さを放っている。

■ガーシーの月牡牛座

まず強調したいのは、彼の月が牡牛座にあるということ。この配置は月が「高揚」するサインであり、感情や欲求が素直に前面へ出やすい。欲しいものは欲しい、良い暮らしがしたい、美味しいものを食べたい、快適さを求めたい――そうした根源的な欲望に忠実である。
しかも、ガーシーさんの月はノーアスペクト。つまり、他の天体に干渉されず、純粋な「欲望充足エンジン」として働いている。無意識のまま自分の満足を追求する力は強烈で、ときに周囲からは「えげつない」とさえ映る。しかし、同時に羨ましさを感じさせるのも事実だ。

■冥王星とのバイクインタイル

月は冥王星とバイクインタイルというマイナーアスペクトを形成している。これは「執念」とも呼べるほどの貫徹力を与える。自分が信じた道をとことん突き進む、他人がどう思おうと意に介さない――その姿勢が、彼を唯一無二の存在にしている。
冥王星は天秤座1度にあり、同じ天秤座の太陽よりもむしろ冥王星のほうが存在感を放っているように見える。天秤座の冥王星は「人脈と権力」を象徴し、彼が人とのネットワークを自在に操れる背景には、前世的な記憶すら感じさせる。わたしには「石油王」とでも言いたくなるような大資産家の前世像が浮かぶ。だからこそ、ドバイに渡ることにも躊躇がなかったのだろう。

■一人のときと二人のとき

YouTubeでの彼を観察していると、一人でカメラの前に立つときは牡牛座的な色が濃厚だ。欲望や本音が前面に出過ぎてしまい、どこか「見苦しい」と感じることすらある。これは、月という無意識的な部分がむき出しになるからだ。
しかし、松浦勝人社長との対談動画を観ると一変する。そこには天秤座的なエレガンスが漂っている。相手との距離を測り、互いの美学を尊重しながら立ち居振る舞う。その洗練された姿は、まさしく天秤座の太陽が輝いている瞬間だ。天秤座は「わたしとあなた」のサイン。相手がいてこそ、自分の魅力が引き立つのだ。

■天秤座のシャドウは牡羊座

天秤座が孤立すると、その影は牡羊座的に出る。つまり、独善的で短絡的な振る舞いに偏りやすい。だからこそ、ガーシーさんが一人で動画を発信するときには危うさが際立つのだろう。だが、誰かを鏡として存在させるとき、彼はぐっと洗練され、天秤座らしい「社交の美学」を発揮できる。
この構造を理解すれば、彼が一人よりも誰かと組んで活動したほうが成功しやすいのは明白だ。

■同世代の厚さ

さて、わたしもガーシーさんと同い年。わたしたちの世代は、バブルが弾けたあの時代を若手社会人として経験している。就職氷河期の入口に立ちながらも、まだギラギラした欲望を剥き出しにしていた。世代全体が厚みを持ち、クセの強い人材がゴロゴロいた。
だからこそ、ガーシーさんのように「灰汁の強い」人物が台頭するのも自然な流れだと感じる。むしろ、同世代として妙な親近感さえ抱く。

■灰汁の強さに惹かれる理由

最後に、これはわたし自身の告白でもあるが、わたしはどうしても灰汁の強い人に惹かれてしまう。わたしの中の「わたしとあなた」のラインは牡羊座―天秤座軸にある。だからこそ、強烈な個性を持つ相手と対峙したときに、自分自身も照らし出される。
ガーシーさんのような人物は、賛否を巻き起こしながらも社会にインパクトを残す。その姿は、世代の象徴でもあり、占星術的にも一種の必然なのだと思う。

 

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