占星術を学んでいると、必ず出てくるテーマのひとつが「逆行」です。トランジットの水星逆行の時期になると、SNSでは「通信トラブル」「交通の遅延」「人間関係のすれ違い」などの話題で盛り上がります。確かに電車が止まる、郵便が遅れる、スマホが不具合を起こす……そうした経験は誰もが持っているでしょう。けれども、首都圏で生活していたら電車の遅延なんて日常茶飯事ですし、通信機器だって天候や環境で乱れるのは当たり前のこと。だからこそ、わたしは「水星逆行が大事件だ」と騒ぎすぎる風潮には、いつも少し首をかしげてしまうのです。
むしろ注目したいのは「ネイタルチャートで逆行を持って生まれた人たち」。彼らこそ、逆行を「天才性」として表現しているのではないかと感じます。
■水星逆行生まれの人は天才肌
通説では、逆行している惑星は「その惑星の力が内向きになる」「本来の表現が阻害される」と言われます。確かにそのように説明するとわかりやすいのですが、水星逆行については一筋縄ではいきません。
水星は知性、言語、学習、コミュニケーションを司ります。その水星が逆行している人は、物事をストレートに理解するよりも「一度頭の中で反転させ、独自に組み替えて理解する」傾向があります。だから、普通の人が思いつかないような発想や独創的な視点を持つ。わたしはここに「天才肌」の所以があると思うのです。
彼らは学校の勉強が苦手だったり、一般的なやり方に馴染めないことも多い。しかし、その裏側で「枠を超えたひらめき」や「非常識に見えるほどの創造性」を発揮することがあるのです。
■逆行のネガティブ要素は破壊できる
逆行を持つことが「不利」だと刷り込まれる必要はありません。むしろ「逆行だからこそ、表現の仕方が独特になる」と前向きにとらえたいものです。
たとえば水星逆行生まれなら、普通のコミュニケーションが不得手でも、自分の世界を文章や芸術で表現すると抜群の力を発揮します。周囲から「わかりにくい」と言われる発想が、時に社会を変えるアイデアになる。逆行のネガティブな解釈をすべて壊して、才能として育てていくほうが建設的なのです。
■大惑星逆行は「恩恵」となる
水星逆行は年に数回起きますが、木星や土星、天王星、海王星、冥王星といった大惑星は、毎年数か月以上逆行します。つまり「大惑星逆行生まれ」の人は珍しくありません。
わたし自身も木星と海王星が逆行しています。かつては「これは弱点なのか」と思ったこともありました。ですが、今ではむしろこの逆行がどれほど大きな恩恵を与えてくれているかを実感しています。
木星逆行は「外に広げるよりも内に拡大する」性質を持ちます。つまり、自分の中に深い哲学や信念を培うのです。表向きは華やかさに欠けても、内側には人を導く叡智を抱え込む。これは人生の後半で大きな強みになります。
海王星逆行は「幻想や理想を自分の内側で熟成させる」傾向を生みます。他人に流されやすい海王星のエネルギーが、逆行することでむしろ自己の深層に集中し、独自の感性を形作るのです。芸術や精神世界においては、他の誰にも真似できない表現を生み出す源泉となります。
■逆行は個性の証明
ネイタルチャートに逆行惑星があると、「何かが足りない」「不自由を抱えている」と解釈する人もいます。しかし実際には、逆行は「他の人と異なる回路を持っている」というだけのこと。その違いが個性を際立たせ、やがて才能として開花します。
逆行を持つ人は「普通」に合わせることが苦手な分、オリジナリティが強まるのです。
■トランジットの逆行をどう捉えるか
最後に、トランジットでの逆行について。確かに水星逆行の時期には小さな不具合が増えるかもしれません。しかし、それは「立ち止まって振り返る」時間でもあります。むしろ、過去の見直しややり残しの再確認には最適なのです。
大惑星の逆行も同様で、個人レベルでは実感しにくいですが、社会全体の動きを見直すタイミングとして作用します。だからこそ「逆行=悪いこと」という短絡的な解釈はもう手放したい。
■まとめ
ネイタルチャートで逆行を持つ人は「天才肌」。特に水星逆行生まれは、常識を超えた独自の発想を宿しています。そして木星や海王星など大惑星逆行は、人生の深みを支える恩恵となります。
逆行の不自由さに怯える必要はありません。むしろ「逆行だからこそ」の力を信じ、自分らしい表現を磨いていくことが、真の開花につながるのです。