2022年のはじめに、タレントのだいたひかるさんが元気な男の子を無事に出産されたというニュースが流れました。わたしはこの知らせを耳にして、本当に嬉しくなりました。他人事ながら心から「よかった」と思えたのです。というのも、46歳という年齢での出産は医学的にも統計的にもリスクが多く、簡単なことではないからです。その困難を乗り越え、母子ともに健康で新しい命を迎えられたことは、大きな勇気と努力の賜物だと思います。
■46歳の出産の意味
40歳を過ぎてからの妊娠・出産は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、早産や流産のリスクが高まり、母体にかかる負担も大きくなります。赤ちゃんに関しても染色体異常の確率が上がるため、医学的には「高齢出産」という枠組みの中で常に注意を払わねばなりません。
それでも、自分の子を抱きたい、母になりたいという気持ちが勝るのでしょう。その願いを実現させた人の姿を見ると、エゴなどという言葉で片づけられない強い生命力を感じます。
■だいたさんの星の配置
占星術的に彼女の星を見てみると、太陽は双子座。そして金星は蟹座にあり、しかもアウトオブバウンズ(OOB)しています。OOBの金星は常軌を逸したまでの情緒的な豊かさや、常人離れした感性を示すことが多い。そこに土星がコンジャンクションしています。
金星と土星の合は「細やかな心配り」「努力を惜しまない資質」として表れます。愛情を形にするために粘り強く取り組む姿勢。これは、不妊治療という長期にわたる挑戦を支えた強靭な力だったのではないでしょうか。
さらに月は蠍座か射手座にあったと推定されます。どちらにしても情熱と深い感受性を持ち、生命に向き合う姿勢が強調されます。そう考えると、今回の決断は占星術的にも彼女の持ち味を余すところなく発揮したものだといえます。
■高齢出産をめぐる世間の声
ひと昔前まで、高齢出産には「エゴだ」「先を考えていない」といった厳しい意見がつきまといました。不妊治療も今ほど一般的ではなく、苦労が多いにもかかわらず理解が得られにくい状況でした。しかし、実際には多くの人が年齢に関係なく「わが子を抱きたい」と願います。それは生物としてごく自然な本能であり、人類が長く続いてきた理由でもあるでしょう。
社会の価値観は時代とともに変わります。かつては「嫁いで3年子を産まなければ出戻り」という慣習すら存在しました。それは女性の尊厳を無視するものに見えますが、当時の出産状況や子どもの死亡率を考えれば、子どもを早く授かることが家を存続させるために必須だったのかもしれません。そうした文化の残滓を今に生きるわたしたちは、批判的に見つつも歴史的背景として理解しなければなりません。
■子育ては社会の責任
現代において大切なのは「子育ては社会で協力して担うものだ」という認識を共有することです。親だけに過度な負担をかけるのではなく、社会全体で子どもを守り育てる仕組みを築く必要があります。
また「子どもを持たない」という選択をした人々への配慮も欠かせません。税制や社会制度において「子育て世帯だけが得をする」仕組みでは、かえって分断を生んでしまいます。子どもがいる家庭にも、いない家庭にも、それぞれの生活を支える公正な制度が必要なのです。
■個人の選択と社会の在り方
子どもが可愛いと思うのは、あくまで「自分の子」だからです。他人から見れば数多くの子どもの中のひとりに過ぎません。しかし、そのひとりを育てる親にとっては、世界に代えがたい存在であり、人生をかけて守る対象です。この熱量を冷笑することなく尊重する社会が必要です。
一方で、子どもを持たない生き方を選ぶ人々の価値も、同等に尊重されるべきです。生き方の多様性が認められ、誰もが安心して暮らせる社会こそが「良い国」なのだと思います。
■税金の使い方と未来
不妊治療は高額であり、長期化することもしばしばです。制度としての助成や保険適用が進みつつありますが、まだ課題は多い。公正な税金の使い方を考えるとき、子育て世帯への支援だけでなく、子どもを持たない家庭や独身者への優遇も必要ではないでしょうか。社会福祉とは総合扶助であり、誰かが得をするだけでなく、すべての人が支え合う仕組みであるべきです。
■まとめ
だいたひかるさんの46歳での出産は、単なる芸能ニュースにとどまらず、社会全体に多くの問いを投げかけています。個人の努力と星の配置が示す強さ、そして社会的背景が重なり合った奇跡的な誕生。それを喜びとして受け止めると同時に、私たちは「子どもを持つか持たないか」という選択を誰もが自由に行える社会を目指すべきです。
子どもを産むことは個人の選択です。しかし、その子どもを育てる環境を整えるのは社会全体の責任です。高齢出産、不妊治療、子どもを持たない生き方――そのすべてを包み込み、優しさと配慮を持って受け入れる社会が、未来をより良くするのではないでしょうか。