ドデカテモリーが示す本質 ― 太陽・月・アセンダントに宿る隠れた声

占星術の世界には、耳慣れないけれど知る人ぞ知る技法がたくさん存在します。その中でも「ドデカテモリー」という技法は、わたしにとってとても重要なヒントを与えてくれるものです。

大した奥義ではない、そう言ってしまえば確かにそうかもしれません。ドデカテモリーは「サインをさらに細分化して本質を読み解く」という、ある意味シンプルな技法です。しかし、いざ実際にチャートに落とし込んでみると、意外なほど深いものを感じます。特にライツ(太陽と月)、そしてアセンダント。この三つに関しては、ドデカテモリーの示す力が驚くほどはっきりと現れるのです。

ドデカテモリーとは何か

まず、ドデカテモリーとは、黄道十二宮を2.5度ごとに分割し、それぞれに小さな「隠れサイン」を割り当てていく技法です。1つのサインは30度。これを12分割すると2.5度ずつになり、各度数が別のサインと対応していく。つまり、同じ射手座であっても、度数によって「射手座×牡羊座」「射手座×牡牛座」といった細かいニュアンスが出てくるわけです。

計算は正直に言って面倒です。パッと見て分かるものでもないため、きちんと計算表を用意しなければなりません。けれども、これを観ていくと、その人の「外から見えにくい部分」「無意識に染み込んでいる傾向」が分かるのです。

ドデカテモリーは、その人の隠れた性質や哲学的なテーマ、本質を浮かび上がらせる鏡のようなものだと、わたしは捉えています。

わたし自身の例 ― 射手座と魚座の響き

参考までに、わたし自身のドデカテモリーを見てみましょう。
太陽は射手座。月は魚座。そしてアセンダントも射手座です。

ぱっと並べただけで「射手座だらけやん」と笑ってしまうほど。わたしの性質は、こうして見ると非常に射手座の色が濃いのです。ドデカテモリーの観点からも、この「射手座バリポー(バリバリパワー)」が現れているのが面白いところです。

射手座は大雑把で、細かいことにこだわらない一方で、常に高みを目指そうとする向上心を持っています。研究熱心で、自由を求め、世界を広げようとする。まさにドデカテモリーで照らし出された「本質」は、わたし自身の内側にある欲求そのものだと感じます。

月は魚座にあり、夢見がちな性質、共感力、そして境界を曖昧にしてしまう性質を持っています。海王星と関連する天体配置を重視することはあまりないのですが、それでも月のドデカテモリーを観ると、この「曖昧さ」と「感受性の強さ」がにじみ出ています。

アセンダントも射手座。人から見られるわたしの顔は、明るく、楽天的で、奔放に見えるかもしれません。その裏には、ドデカテモリーが示す「自由への希求」や「自分自身を広げたいという哲学的な欲望」が隠れています。

大雑把さと寛容さ

射手座の本質は大雑把。これを短所と取る人もいるでしょう。けれども、ドデカテモリーを通じてみれば、それは「大らかさ」や「寛容さ」でもあるのです。

細部にこだわらず、広い視野で物事を見渡す力。相手の欠点を受け流す余裕。失敗しても「まあいいか」と笑って前に進む姿勢。これこそが射手座の大きな強みであり、わたし自身が求め続けている在り方です。

もちろん、これは口で言うほど簡単ではありません。現実には苛立ったり、落ち込んだりすることも多い。でも、ドデカテモリーを通じて「本質」を意識することで、「わたしはこうありたいのだ」という軸を思い出せるのです。

鑑定ではどう扱うのか

正直に言えば、鑑定の現場ではドデカテモリーについて長々と語ることはほとんどありません。なぜなら、クライアントさんにとっては「難しい話」に聞こえてしまうからです。

けれども、裏では必ずチェックしています。特に太陽・月・アセンダント。この三つのドデカテモリーは、その人の性質を深く理解するうえで欠かせないヒントになるからです。

例えば、太陽のドデカテモリーが蠍座にかかっている人なら、普段のサインが射手座であっても「射手座的な楽天性に、蠍座の執念深さが潜んでいる」と読めます。月が天秤座にかかっていれば、人間関係で調和を重視する傾向が強まる。こうした細部が、鑑定の「精度」と「説得力」を高めるのです。

ドデカテモリーが示す「腑に落ちる感覚」

多くの人が自分のサインを聞いたときに「当たっているような、当たっていないような」と感じることがあります。その違和感の一因は、ドデカテモリーにあると考えられます。

自分の太陽サインが牡羊座なのに「自分はそんなに直情的ではない」と思う人も、ドデカテモリーで魚座や蟹座が出てくると「ああ、なるほど」と納得するのです。ドデカテモリーは、表に出にくい「隠れキャラクター」を教えてくれるからです。

わたし自身、射手座的な自由奔放さと魚座的な感受性の両方を持っていると自覚しています。それは太陽やアセンダントのドデカテモリーが教えてくれたことでもあるのです。


結びに

ドデカテモリーは派手な技法ではありません。むしろ地味で、計算も面倒です。ですが、ライツとアセンダントにおいては驚くほど的確に「本質」を突いてきます。

わたしの射手座だらけの配置は、大雑把で、寛容で、そして研究熱心。そうありたいと願い、そうであると認められる技法がドデカテモリーです。

もしご自身のサインに違和感を抱いたことがあるなら、ぜひドデカテモリーを調べてみてください。必ず「腑に落ちる感覚」に出会えるはずです。

 

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