蝕がもたらす国家と社会への真の影響力

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1. 天文学における構造(何が起きているのか)

天文学において「蝕」とは、太陽・地球・月が宇宙空間で一直線に並び、光が遮られる現象を指す。 毎月の新月や満月において毎回これが起きない理由は、地球が太陽の周りを回る軌道(黄道)と、月が地球の周りを回る軌道(白道)が約5度傾いているためである。

この2つの軌道が交わる天文学的な交点(ノード)のすぐ近くで新月や満月が重なったときにのみ、完璧な一直線が形成され、蝕が発生する。

  • 日蝕(太陽の蝕) 太陽と地球の間に月が入り、月の影が地球に落ちることで、太陽が欠け、あるいは完全に見えなくなる現象。新月の最大出力版に相当する。

  • 月蝕(月の蝕) 太陽と月の間に地球が入り、地球の影の中に月が完全に入ることで、月が赤黒く変色する現象。満月の最大出力版に相当する。

2. 占星術における本来の占断意義(なぜ重要なのか)

占星術における「蝕」は、個人の情緒的な揺らぎを測る通常の新月・満月とは全く次元が異なる。国家の命運や社会の転換点を読み解くための、最も強力なトリガーとして扱われる。

① 絶対王者の威光が一時的にリセットされる

マンデン占星術において太陽は、国家、最高権力者、社会の絶対的な意志、あるいは統治構造そのものの象徴である。 その太陽の光が一時的に完全に遮断される(日蝕)という事実は、これまでの体制やトップの権威が一時的に無効化され、社会に強制的な書き換え(リセット)が入ることを意味する。 個人の心理的なデトックスなどという呑気な話ではなく、一国の政権交代、歴史的な制度の激変、あるいは大規模な自然の脅威といった、社会の骨組みそのものの変動として現れるのが本来の姿である。

② ドラゴンヘッド・ドラゴンテイル(運命の交点)の作動

太陽と月の軌道が交わるポイントは、ホロスコープ上で「ドラゴンヘッド」および「ドラゴンテイル」と呼ばれる。 ここは、過去からの因縁や、未来へ向けて避けては通れない宿命的な課題が眠る場所である。 蝕が発生するということは、この交点がダイレクトに刺激されるため、人間の裁量では一切コントロールできない宿命的な出来事、あるいは歴史の決定的なうねりが社会を襲う引き金となる。

③ 空間と時間の成立

さらに、蝕の影が地球上を通過する物理的なルート(中心食線)にあたる地域は、星のエネルギーが直接その土地の空間に刻まれることになる。 そこに後から火星などのトランジット天体が正確な度数でアスペクトを組んだ(マーズ・トリガー)瞬間に、蓄積されていたエネルギーが一気に解放され、有事や自然災害といった決定的な事実として社会に具体化する。

客観的な数値と天文学的事実に基づき、一国の命運を測るツール。それこそがルナフェイズ分析において最も注視すべき「蝕」の真理である。安易な心理的慰めや金儲け主義のエンタメ占星術に逃げることなく、この厳格なルールを前提として社会の動向を見極める眼が、プロには求められる。

いつの頃からだろうか。「蟹座の新月は家族を大切に!」とか、「満月は手放しのタイミング!」といった言葉が溢れるようになったのは。本来、天体のリズムは私達の生活と連動しているとはいえ、月の位相というものは、太陽という絶対的な存在に対して、一般社会や私達がどのような状態にあるのか、どのような立ち位置にいるのかを読み解くものだったはずだ。それを個人の運勢に無理やり当てはめ、過剰に感情を揺さぶるような手法が増えたのは、ビジネス的な見せ方が巧妙になったからにほかならない。

そうした風潮に閉口することもあるが、私自身、この世界に入って日が浅い頃はそのような分かりやすい表現に興味を惹かれたのも事実であり、一概に否定しきることはできない。しかし、月の位相とは本来、約1カ月という短期的な社会の動きや人々の意識の変化を測るためのものであることは、広く知っておいてほしい。もちろん、個人の出生図に対して毎月訪れる月の回帰(ルナリターン)が、その約1カ月間の体調や心の波を予測するのに優れていることも確かである。

だが、私が社会全体の動向を読み解くルナフェイズの分析において、最も注意深く観察し、危機感を持って向き合っている現象がある。それこそが「蝕(エクリプス)」だ。

日常生活における情緒的な星読みとは一線を画し、国家の存亡や社会の転換点、あるいは大規模な自然の脅威と密接に結びつくこの「蝕」という現象について、客観的な数理モデルと歴史的な事実をもとに、その仕組みと予測される未来を詳しく解説していく。

蝕がもたらす国家と社会への真の影響力|タラッサ・まあさ
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