病と死と占星術の因果関係とは。

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美しく生きた女優の本質

女優の川島なお美さんがこの世を去ってから、そろそろ9年の歳月が流れようとしています。彼女はわたしより少し上の世代であり、かつて一世を風靡した女子大生ブームの先駆者として、まばゆいほどの光を放っていた人でした。しかし、その華やかなキャリアの途上、わずか54歳という若さで病に倒れ、帰らぬ人となりました。

彼女の逝去後も、夫である鎧塚氏は現在に至るまで公に再婚をしていません。この選択の是非や、残された者の心情の良し悪しは誰にも測ることはできませんが、川島なお美という一人の女性の視点からその人生の着地点を眺めるならば、それはある種の絶対的な満足感に満ちたものであるのかもしれません。たとえ夫が今後誰かを慈しむことがあったとしても、彼が生涯で妻と呼び続ける存在は、後にも先にも川島なお美ただ一人だからです。誰にもその座を奪われることのない絶対的な誇り。それこそが、彼女が人生を賭けて守り抜いた尊厳の形なのでしょう。

幸いにして、彼女は出生時間も死亡時間も正確に判明している稀有な存在です。占星術において、時間が確定しているということは、ハウスのグリッドやアングルの正確な接触を検証できることを意味します。彼女の遺したホロスコープの設計図と、あの最後の瞬間において星たちがどのような関係性を描いていたのか、冷徹な事実ベースで考察を進めていきましょう。

5ハウス太陽と2ハウス獅子座月のプライド

彼女のNチャートを紐解くと、太陽は蠍座に位置し、表現と創造の部屋である5ハウスに滞在しています。対して、月は獅子座にあり、所有と価値の部屋である2ハウスに位置しています。

5ハウスの太陽は、自己表現を生業とする女優にとってはこれ以上ないもってこいの配置です。自らをスクリーンや舞台の上で開花させ、他者の視線を集めることで人生の目的が達成される構造です。彼女が遺した数々のエピソードや、病に侵されてなお舞台に立ち続けようとした凄まじい執念を振り返る時、彼女が心底、演技という表現に惚れ込み、太陽の本質的なバイブレーションに愚直なまでに触れ、それを生全うした人であったことが痛いほどに伝わってきます。

一方で、2ハウスにある獅子座の月は、自身の尊厳や価値を何よりも高く保ち、それを守り抜きたいという切実な感情の欲求を象徴します。獅子座の月は不器用なほどにプライドが高く、自分が世界の中心であり、誰よりも特別であるという実感を求めます。この月が所有の部屋にあるからこそ、夫に対しても、ある種の強い執着や自分のものとして完璧に固定したいという思いが働いていたのは極めて自然な帰結です。妻という唯一無二の座を誰にも渡したくない、自身の価値を永遠に損ないたくないという願いは、この2ハウス獅子座の月がもたらした本能的な叫びであったと言えます。

彼女の放っていた、あの独特の情緒的で艶やかな雰囲気は、ASCが蟹座であることに由来します。蟹座のASCは、他者を迎え入れるような柔らかさと、水サイン特有の濃密な情感を周囲に放ちます。そして、そのASCのルーラーは他ならぬ2ハウスの月です。この構造があるため、彼女は時に世間を驚かせるような、思い切った発言を放つことがありました。

かつてテレビドラマで故・古谷一行氏と共演し、社会現象となった不倫劇の際、インタビューで放った「子宮が呼吸できなくなる」というあまりにも有名な言葉は、まさに水サイン(蟹座・蠍座)の情念が肉体的な感覚と直結している典型的な例です。言葉を単なる知性の道具としてではなく、内臓の震えや液体の交わりとして出力する性質が、このASC蟹座と蠍座太陽のグリッドによく現れています。

また、世良公則氏との間で囁かれた不倫騒動など、彼女の生涯には常に情熱的な恋の噂が付きまといました。その真相がどこにあるかは問題ではありません。重要なのは、女優という過酷な表現の世界に身を置く人間にとって、プライベートの感情の起伏や、持続的な情炎のエネルギーこそが、優れた演技を産み出すための不可欠な燃料であったという事実です。

昨今の社会が求める極端にクリーンな風潮や、一律の倫理観は、こうした表現者やクリエイターたちの息の根を止め、才能を阻害する足かせになっている側面を否定できません。私生活がどうであろうと、不倫をしていようと、カメラの前で、舞台の上で圧倒的な演技を披露し、観客の魂を揺さぶることができれば、芸術の本質としては何の問題もないはずなのです。

コンバストされた水星と父親の影

彼女のICのルーラーは、水星となり、この水星は5ハウスに位置しています。彼女にとっての父親像や、男性に対する根本的な価値観は、彼女自身の遊びや表現の延長線上に存在していたのかもしれません。

この5ハウスにある水星は、太陽に接近しすぎているためにコンバストの状態にあります。占星術において水星がコンバストされると、知性が主観に支配されやすいと言われますが、彼女の場合は決して知的能力が損なわれていたわけではありません。むしろ、非常に知性的で理性に溢れた人物でした。

彼女の父親は法曹界に身を置く厳格な人物であり、彼女が芸能界に身を置く中、父親の職業的立場や社会的な体面を考慮しなければならない局面が多々あったとされています。そのため、若い頃の彼女は、自身の意思だけで自由奔放に動くことができず、女優としてより早い段階で大成する機会を、周囲への配慮ゆえに見送らざるを得ない時期を経験しました。

それでも、置かれた場や環境を大切にし、父親への敬意を失わずにキャリアを構築していった彼女の選択を見るに、その水星は全く傷ついておらず、極めて優秀な理性を保っていたことが証明されています。自分の欲望のために周囲を破壊するのではなく、社会的な枠組みの中でいかに自己の表現(5ハウス)を最大化するかを冷徹に計算できる、大人の知性がそこにはありました。

病の襲来と死をもたらした天体の設計図

順調にキャリアを重ね、大人の女優としての深みを増していた彼女に、突如として過酷な病魔が襲いかかったのは2013年8月のことです。この時期のディレクションを精査すると、P(プログレス)太陽とP月がオポジションを形成し、まさにそこからセパレーツしていくタイミングにあたりました。人生の目的(太陽)と肉体の器(月)が真っ向から対立し、一つのサイクルの終焉と強制的な方向転換を迫られる、極めてシビアな星の節目です。

彼女を襲ったのは、自覚症状が極めて少ないことで知られる肝内胆管癌でした。占星術において、肝臓や胆管といった部位の病変は、拡大と肥大を司る「木星」と、炎症や切断を司る「火星」が深く関連してきます。

彼女の出生図において、木星は健康と労働の部屋である6ハウスに位置しており、同時に社会的な看板であるMCのルーラーでもあります。MCのために肉体を酷使する構造が、最初から6ハウスの木星に刻まれていたのです。そして、炎症を司る火星は、宿命的な制限を課す土星と正確なオポジションを形成していました。この土星は、自身の本拠地である山羊座に位置しており、ドミサイルとしての極めて強固で冷徹な威力を発揮しています。

発病からわずか2年という短期間で彼女が命を落とすこととなった直接的な要因は、この火星と土星が織りなす、Nチャートに秘められた肉体的な破壊の仕組みが、時期の到来によって完全に作動したためです。

彼女が亡くなった当日のトリガーとなった星の配置は、占星術の厳格なルールをそのまま証明するような動かぬグリッドを描いていました。 死亡当日の進行図において、N土星に対して、進行するP太陽が正確に合を形成していました。さらに、そこへP木星もまた重なっていたのです。土星という時間を区切る天体に対して、生命力の源である太陽が重なり、そのエネルギーを完全に制限・凍結される配置です。

同時に、トランジットの火星とN木星はアバージョンを起こしていました。アバージョンは、天体同士が互いを認識できず、適切なコントロールやブレーキが効かなくなる状態を意味します。炎症や刃を司るトランジットの火星に対し、肉体の保護や拡大を司る出生の木星が全く機能せず、防御壁が完全に崩壊していたことを示しています。

このように、プログレスやトランジットといった複数の星の波が、同時に、そして一斉に弱り切った肉体に対して決定的な一撃を加えたとき、人間は肉体的な死という絶対的な節目を迎えることになるのです。これは甘い心理的解釈など挟む余地のない、天体のグリッドがもたらす冷徹な物理的現象に他なりません。

死してなお美しく生きる真理

正直に申し上げるならば、生前の彼女が全盛期に活躍していた頃、わたし自身はそれほど彼女に対して強い興味や関心を抱いていたわけではありません。どこか華やかで、世俗的な話題に彩られたスターの一人という認識に過ぎなかったのです。

しかし、彼女が遺した後半生の軌跡や、没後の様々なエピソードを知るにつれ、その認識は大きな変革を迫られました。彼女は愛犬をはじめとする動物愛護活動に深くコミットし、口先だけの慈善ではなく、自らの影響力と資金を投じて真摯にその活動を支えていました。また、過去には大怪我に見舞われるといった肉体的な試練を経験していますが、これらも出生図におけるN太陽と火星のトラインという、過剰なエネルギーの流入と肉体的なアクシデントの表示を見れば完全に納得がいきます。3ハウスのルーラーが太陽であるため、移動の最中や、仕事中の突発的なエピソードが人生の節目に現れるのも、ホロスコープの設計図通りです。

何より、MCと火星がトラインを形成している彼女のチャートは、自身の情熱やエネルギーの解放の仕方が、社会(MC)に対して過不足なく、十二分に通じる構造を持っていたことを示しています。彼女の生き様や、あの独特のこだわりは、世間に広く受け入れられ、評価されるべくして評価されたのです。

そして彼女は、死の瞬間を迎えるその時まで、自らの美学を1ミリも崩すことはありませんでした。凄絶な闘病の現実をしっかりと受け止め、衰えていく肉体を隠すのではなく、それさえも自身の人生の一部として気高く表現し尽くした。自らの人生をこれ以上ないほどに貪欲に、そして十分に生き切ったその姿勢は、一人の女性として、そしてプロの表現者として、素直に称賛の意を表せざるを得ないほどに素敵であり、見事なものでした。

彼女は、まぎれもなく素晴らしい女優であり、自らの星の設計図を完璧に使い切った、誇り高き一人の女性であったとここに記しておきます。

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